-カマ通貨の目指すもの-
これまで日雇労働に従事してきた人びと、彼らは労働市場から弾き出され、野宿生活を余儀なくされました。まちづくり運動のなかで、やっと生活保護を受けてサポーティブハウスやアパートでの暮らしができるようになりました。でも、問題はそれで終わるわけではありません。ひとりきりで、時間をただ過ごす生活。なにかをしたい、なにかをしてほしい、誰かとかかわりたい・・・。「カマ通貨」はそんなひとりひとりの思いをつなげ、助け合いの輪をつくるための道具です。カマ通貨は次の2つの柱が軸になっています。
○小さな仕事づくり
地域通貨の一つ目の柱は、「小さな仕事づくり」です。「仕事」とは言っても、それは賃労働を意味するわけではありません。誰かのために何かをする、あるいは何かをしてもらう。労働のもっともシンプルで、それだけに忘れられがちな意味を、いちばん大切なものだと考えています。ただ話を聞いてほしい、それだけですごく助かる、お礼の気持ちを込めて50カマを渡す。これが地域通貨の立派な労働です。お互いがお互いのことを「この人がそこに居てよかった」と思うこと、お互いに「生きててよかった」と思うこと、「小さな仕事づくり」が目指すものはそういうことです。
○なかまづくり
誰かのために何かをする、そんな労働をつうじてひとつの「つながり」が生まれます。この「つながり」を次のつながりへとつなげること。それが「なかまづくり」の目的です。Bさんのお話を聞いてあげたAさんは、この労働によってBさんから50カマを手にしました。このポイントを使って、Aさんは誰かになにかをやってもらうことができます。たとえば、足裏マッサージをCさんにやってもらう。この労働によって50カマを手にしたCさん、次はDさんから不要になった服をもらうことにしました。そしてDさんは・・・とまあ、こんな感じでポイントがぐるぐるまわることで「つながり」の輪を広げていきたいのです。
このような二つの柱に沿って、まちづくり、コミュニティ形成の基盤となるような人々の間のつながりを少しずつ、少しずつ広げていこう−釜ヶ崎の地域通貨「カマ通貨」にはそのような思いが託されています。
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