●地域再生の抜本策

セカンドステージ


これが私たちが提案する、新しい釜ケ崎のまちのかたち(中間ビジョン)です!!
→イラストを見てください。

第2ステージのポイントだけを解説します。くわしいことはフォーラム事務局にお問いあわせください。また、ぜひフォーラムやワークショップに参加して、考えをのべてください。あなたの意見がビジョンをゆたかに、より正確にします。これはあくまでも策定途上のものです。

セカンドステージ

総論
●<第2ステージの大目標>は、釜ケ崎地域内に住むさまざまな住民層の誰でもが<住み続けられる街にする>ことです。このままいくと、スラムになり、「待ってた、ホイ」とばかりにクリアランス(退去・一掃)されるしかないからです。
しかし、私たちのアンケートによっても労働者の70%が「これからも釜ケ崎またはその周辺に住みたい」のです。
さまざまな層から成る住民の間には意識のギャップ、ときには矛盾や対立もありますが、住み続けたい、商売を続けたいと望むかぎり、力をあわせて新しいしくみを自分たちで考えるしかないのです。

●第2ステージの全体輪郭を見てください。

「居住の安定化」「仕事づくり」「つながり・ささえあいづくり」「共生」という、<幸せを願う4つ葉のクローバー>になっています。
このうち、「仕事さえあれば(なんとでもなる)…」という、今までのような考え方では不十分で、「居住の安定化」が扇の要かなめのように重要だと私たちは考えます。
どの葉っぱが欠けても、<幸せのクローバー>にはなりません。
ただ、<共生>と名づけた葉っぱは、これからみんなで議論を積み重ねる領域です。


各論
<居住の安定化>の葉っぱの中のステップアップの流れを見てください。

私たちは、地域内で巨大な空間を占める簡宿を「今そこにある」地域資源としてとらえ直し、それを改善・進化させていく現実的方法を提唱します。
しかし、すべてが「福祉マンション」になっては昔と同じ誤りのくりかえしです。「ホテルとしての充実化」コースも含めて改善を競い、居住者にとって多様な選択肢があるようにすることがたいせつでしょう。
現に、すでに実現し、成功しているサポーティブハウス(→2002年春以後、「福祉マンション」のうち、共同リビングやきちんとしたサポート態勢をそろえたものを、私たちはこう呼ぶようにしている)もそれぞれにちがう特長をなるべく持つようにしています。
そこでの経験では、生活相談体制や共同リビングを使った交流・生きがい事業などのソフトが、やはりとてもたいせつであることが実感されています。

▼ハードもソフトも改善せず、簡宿の看板をはずしただけの「アパート」はいずれ消費者の厳しい目によってそっぽを向かれるでしょう。定住志向者が増すにつれて、居住条件が少しでもいいところを選ぶようになるからです。
しかし、住居としての本格的な改善をともなっての転換が地域全体の本流となるには、どうしても補助金や低利融資制度などでの公的支援が不可欠です。

<仕事づくり>の葉っぱを見てください。

▼「基幹労働」と「補助的労働」があります。後者では、高齢者特別清掃事業などの公的就労ルートの大幅拡大が一番のたよりです。

▼そのうえで、市民団体として限られた力量しかない私たちが今、自力で取り組んでいるのはNPO元気100倍ネット等による仕事づくりです。
ここから「まちづくり営繕チーム」や「釜釜介護チーム」などの車がサポーティブハウス方面と結ばれています。当事者たちのたいへんな努力によって、これらはすでに現実となっています。
また、2001年4月からは、当フォーラム参加のシチズンホームライフ協会が府の委託も受けて、生ゴミリサイクル&有機野菜の生産販売事業(野宿脱出者雇用)をいよいよ本格化します。

→次ページにはその特集が描かれています。それらのチームで働く人々がいっしょに、あるいはそれに近い形で住めるように工夫すれば、自立を着実なものとする<就労支援型グループホーム>も可能となります。「工夫」とは、(官・民の各種基金・補助金を使って)NPOなどが民間賃貸アパート等を借り上げ、さらにそれを労働者に貸すことなどを言います。
▼この絵では、地域で自由に使える<共同作業所>を描き落としました。
それがあれば個々人のレベルで何かモノを作って売ったりする、「小さな仕事」をつくりだせます。
それも含めて、みんなでさらに議論したものを、次の改訂版で順次、描き加えます。

<つながりやささえあいづくり>の葉っぱを見て下さい。

小さな規模ですが、すでに始まったものがいくつもあります。
サポーティブハウスに住む高齢者たち(多くが野宿脱出者)と保育所の子どもたちとの交流事業。
太子福祉館(まちづくり運動に使ってほしいと、ある簡易宿泊所オーナーが提供してくれている拠点的集会所)。そこをよく利用する(生活保護受給者たち自身のささえあい組織)さつきつつじ会、つきみそうの会などによる生活セミナー、食事会などのミーティング、安否確認巡回事業(自分たちの仕事づくりも兼ねた有償ボランティア制)など。
これらは始まったばかりで、今後うんとゆたかなものになっていくことはまちがいありません。

特に、真ん中あたりに描かれている<地域通貨>の絵を見てください。
地域通貨(カマ通貨)とは、日常生活の中でのちょこっとしたささえあいの交換、人と人のつながりのつくり直しです。
つまり、<幸せを願う4つ葉のクローバー>を常にいきいきしたものに保つ<水や養分>のような役割をはたすと考えています。
「地域通貨」のページをご覧ください。

<共生>の葉っぱ

これから本格的に取組む領域です。私たちの地域は実に多様な住民で成りたっています。この多様性、ふところの深さを失わず、長所として伸ばしていく。「住みやすさ」につなげていく。むしろ「地域のパワー」にできると考えています。だからこそ、住民参加が必要です。
これまで「社会的排除」だったすべての人々を地域社会の一員として包摂し、「社会的参加」を前進させるためにも<共生>の葉っぱは不可欠です。

■最後に、1stおよび2ndステージのイラストの中の<飛行船>の絵を見てください。

もうおわかりでしょう。<釜ケ崎のまち再生フォーラム>とは、この街に住み、働き、ボランティア活動をし、そのゆくえを心配する、すべての人々の幅広い協働そのものです。しかし、まだまだ発展途上です。この読者のみなさまにも、ぜひ可能なご協力とご支援をお願いいたします。
「釜ケ崎のまち再生フォーラムって何?」のページを参照してください。




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